
重要文化財
賀茂神社
檜皮葺
本殿ほか7棟保存修理工事
- 兵庫県
- 令和2年

施工前
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施工後
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施工後

施工後
施工について
海際に社殿が建っており、長期間海風と雨水に耐えてきましたが、檜皮葺き屋根の劣化に伴い今回の工事計画となりました。本殿含め5つの社殿が横並び、そこを囲う回廊と唐門の計8棟もの檜皮葺き建造物がありました。 檜皮葺き工事のほかにも、瓦敷き補修や社殿の飾り金具もほとんど金箔押し直しを施し、創建当初の美しさを取り戻したのではないかと思っています。また今回、社殿全体の耐震補強工事も計画され、診断の結果回廊と唐門に大規模な補強を実施することとなり、弊社としては初めての体験でした。
賀茂神社について
賀茂神社は兵庫県たつの市御津町室津に鎮座し、平安時代に京都・上賀茂神社の御厨として創建されたと伝わります。主祭神は賀茂別雷命で、古くから海上交通の要衝であった室津港を見守る守護神として、漁業や航海の安全を願う人々の篤い信仰を集めてきました。現在の社殿は元禄12年(1699年)に再建されたもので、本殿・拝殿・唐門・回廊など8棟が檜皮葺で構成され、国の重要文化財に指定されています。彫刻や意匠も格調高く、特に「馬足の龍」と称される門の彫刻はユニークな見どころです。近年、檜皮葺の全面葺き替えが行われ、往時の優美な屋根線がよみがえりました。境内からは播磨灘を望む雄大な眺望が広がり、江戸時代に来日したシーボルトもその美しさを称賛したと伝えられます。春の例祭「小五月祭」や夏越祭など、地域に根差した神事も今なお大切に継承されています。
